1日あたりの摂取上限
60g(ワラビの場合おおよそ4本)
摂取を控えるべき人
特になし
春の訪れを告げてくれる
春の味覚の代表である山菜。スーパーで買うだけでなく、自ら山へ分け入って山菜摘みに興じる人も多いはず。採って来た山菜を天ぷらや山菜おこわなどで楽しめば、口いっぱいにひろがる春の味に、きっと顔もほころぶに違いありません。
山菜の代表格であるワラビとゼンマイは、一見よく似た見た目をしていますが、もちろんまったくの別モノです。
ワラビは先端が拳を丸めた形をしたイノモトソウ科の植物で、先端がゼンマイはバネのようにぐるぐるとらせん状になっているゼンマイ科の植物。
栄養価でワラビとゼンマイともに多いのが葉酸。ほかにはワラビならビタミンB2が多く、ゼンマイはビタミンKが豊富に含まれています。
アク抜きが重要
ワラビもゼンマイもアクが非常に強く、アク抜きをしないと食べられたものではありません。既にアク抜きされた製品を買ってきて調理して食べるならば特に問題ありませんが、自前でアク抜きをする場合は、アク抜き不足に注意しましょう。
ワラビやゼンマイに含まれるアクの正体は、という酵素。この酵素はビタミンB1を分解する性質を持っています。せっせとビタミンB1を摂取しても、摂ったそばから分解されてしまうという厄介なシロモノ。
体の倦怠感や神経痛のような症状が生じ、脚気になったり、眼球運動の麻痺や歩行運動の失調、記憶力の低下、健忘症に代表される精神疾患に及んだりするビタミンB1欠乏症を招いてしまうのです。
チアミナーゼは加熱に弱いので、しっかりアク抜きすればこれらの問題はなくなります。
食べても大丈夫な量
アク抜きはチアミナーゼだけの問題ではありません。
ワラビやゼンマイにはと呼ばれる発がん性物質も含まれていますが、これもまたアク抜きをしっかりすることで除去できます。
かつては旧厚生省がワラビの摂取量を1日あたり60gまでに制限することを推奨していました。アク抜きさえすれば摂取量をそれほど気にすることはないとのことから、現在では特に制限を設けていませんが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。やたら大量のワラビやゼンマイを一度に食べるということは避けておいた方がよいでしょう。