
1日あたりの摂取上限
1本(およそ150g)
摂取を控えるべき人
人工透析患者、高血圧治療薬服用者、喫煙者
油と相性バッチリ
緑黄色野菜の代表格ニンジンの栄養といえば、なんといってもビタミンA。
実はレバーや玉子などに含まれる動物由来のビタミンAと、ニンジンやホウレンソウなどに含まれる植物由来のものでは、ちょっと性格が異なります。
植物由来のビタミンAの多くはが占めています。プロビタミンAとは、摂取後体内でビタミンAに変化する物質の総称。ニンジンに含まれているもプロビタミンAです。
茹でたニンジン100gあたりに含まれているβ-カロテンは約7,500μg(625μgRE)。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」によると、1日当たりに必要とするビタミンAの量は成人で650~900μgREとされていますので、ニンジン1本食べれば軽々とクリアできてしまうのです。
またβ-カロテンは食品の調理方法によって、体内での吸収率がかなり違います。生やボイルで食べるよりも、油を使って調理したほうが吸収が良くなります。
β-カロテンは過剰摂取しても大丈夫
となると、ニンジンを食べ過ぎてしまうとビタミンAの過剰摂取になってしまうんじゃ…?って思いませんか。
ビタミンAは体内組織のタンパク質と結合して、組織を健全に保護する働きがある大切な栄養素。ビタミンAが不足すると暗いところで目が見えにくくなる夜盲症になったり、肌のかさつき、感染症にかかりやすくなるなど、皮膚や粘膜の細胞に不具合が起こってしまいます。
逆にビタミンAが過剰になると、今度は吐き気や頭痛、めまいなどの症状が表れ、特に妊娠している女性の場合は、生まれて来る子に奇形が発生することもあります。
ところが上手いことに、β-カロテンは、体内で必要に応じた量だけがビタミンAに変換されるという特質を持っているのです。余ったβ-カロテンは、β-カロテンのまま体内に蓄積されるか、もしくは排泄されます。
ですからニンジンを食べ過ぎてビタミンA過剰になることはありません。
食べても大丈夫な量
ちなみにニンジンと他の野菜を一緒に食べるとビタミンCを酸化させるので良くない、という話がありますが、ビタミンCは酸化しても酵素により還元・再生されるので効能は変わりません。気にせず一緒に食べてください。
また過剰摂取の問題がないとはいえ、β-カロテンを摂り過ぎると、肌が黄色くなることがあります。
いわゆる「ミカンを食べ過ぎると肌が黄色くなる」のと同じ症状で、柑皮症(かんぴしょう)と呼ばれるものです。β-カロテンの過剰摂取により血中のカロテノイド濃度が上昇することで起こり、これは単に肌が黄色く色付くだけで、病気ではありません。治療の必要もなく、ニンジンの摂取量を減らせば自然に治まります。
ただし研究途上ながら、β-カロテンは喫煙者に対して肺がんのリスクを高めるという報告もあるので、タバコを吸う人は過剰に摂らない方がいいかもしれません。
これらを踏まえて、ニンジンは1日に1本程度までにしておきましょう。