1日あたりの摂取上限
大さじ2杯(30g)
摂取を控えるべき人
血糖降下剤服用者は医師に相談を
成分の8割がオレイン酸
脂質の主な成分である脂肪酸。脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別でき、肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸の過剰摂取は、肥満やLDLコレステロール(俗に言う悪玉コレステロール)の増加につながります。
逆に不飽和脂肪酸は太りにくいとされている脂肪酸。不飽和脂肪酸にはと多価不飽和脂肪酸があり、一価不飽和脂肪酸のひとつであるは、オリーブオイルの8割を占める成分です。
オレイン酸は酸化しにくいため、DNAに損傷を与える過酸化脂質になりにくいのが特長。またLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロール(俗に言う善玉コレステロール)を減らさない働きもあることから、生活習慣病予防に役立つ脂肪酸だと言えましょう。
オリーブオイルダイエット
おまけにオレイン酸には食欲を抑える作用までもあるといいます。これは小腸で吸収されたオレイン酸が、N-オレオイルエタノールアミン(N-Oleoylethanolamine)という物質になり、これが脳の視床下部にある満腹中枢に働きかけてくれるのです。同時に脂肪の分解を活発化してくれます。
この働きを利用したのが「オリーブオイルダイエット」。やりかたは至ってシンプルで、食事の約1時間前にオリーブオイルを大さじ1杯程度飲むというものです。
1時間後に小腸で吸収されたオレイン酸が食欲を抑えてくれるため、食事量を減らしても満腹感を得られるという仕組み。
このダイエット法は癖のあるエクストラバージンオイルよりも、ピュアオリーブオイルのほうが成功しやすいとされています。なんたってスプーン1杯とはいえ、油をそのまま飲むわけですから、気持ち悪さもあります。加熱すると効果がなくなるので、そのまま飲むか、せいぜいヨーグルトに混ぜて食べる方法で摂取しましょう。
ただし体質に合わない場合もありますので、その際は即時中止を。
摂取しても大丈夫な量
しかしながらオリーブオイルもやはり油です。油のカロリーが高いことは誰もが知っていることですよね。大さじ1杯のオリーブオイルは111kcalあります。
これを一日に何杯も飲んで、なおかつ食事でも油を摂り入れていたら、あっという間にカロリーオーバーしてしまいます。痩せるはずが却って太ってしまうおそれもあるわけです。
またオリーブオイルには、量こそ少ないですがリノール酸も含まれています。リノール酸は必須脂肪酸のひとつで、体内で作ることができない栄養素。食品から摂取するしかありません。なおかつ血中コレステロールを下げるとして、かつては持て囃されていました。しかし研究の結果、リノール酸がHDLコレステロールの減少を招き、動脈硬化の一因にもなることが明らかになってからは、摂り過ぎは控えるべきだとされています。
また農林水産省はオレイン酸を代表とする一価不飽和脂肪酸について、目標摂取量の下限と上限は設定していませんが、多量の摂取は冠動脈性心疾患のリスクになるとの欧米の研究を検討会報告書で引き合いにしています。
これらを考慮すると、オリーブオイルの摂取量は料理に使うぶんを含めて1日に大さじ2杯程度にしておくのが無難でしょう。
むやみやたらに飲むのは考えものです。