1日あたりの摂取上限
20g(1枚)
摂取を控えるべき人
高血圧の人、脂質異常症の人
カリカリベーコンは美味しいですが…
豚肉を塩漬けして燻製にしたベーコンは、フライパンで焼くだけで一品になる手軽さから、忙しい朝やお弁当のおかずに人気。
とはいえフライパンに油を引かなくてもベーコンから油が沁み出るほどですから、まして焦げ付き防止のためにサラダ油を引くとなれば、それだけでかなりの量の脂質を摂取することになります。
ベーコンの重量のうち脂質が占める割合は約3分の1。ベーコン2枚を大さじ1杯のサラダ油で調理するだけで、脂質の量は26gにもなるのです。
26gが果たして適量であるかどうか、数字を聞いただけではピンと来ないかもしれません。でも次のような視点で数字を捉えてみれば一目瞭然。
一般的に成人が1日で必要とするカロリーは、程度の差はありますがおよそ2,000kcalです。そのうち脂質が占めるぶんをグラム換算すると、およそ55gになります。
つまり1日の必要脂質量55gのうち、ベーコンを油を引いて2枚焼いただけで、その半分を費やしてしまうことに…
こう考えると、さすがにベーコンを毎日フライパンでガンガン焼いて食べるのは躊躇してしまいませんか?
「いやいや、ベーコン2枚焼くだけでサラダ油大さじ1杯も使わないから」
なんて高を括っていてはいけません。
サラダ油を一切使わないとしても、代わりにタマゴ2個を使ってベーコンエッグにしたならば、同量の脂質量となります。
ベーコンに発がん性?
世界保健機関(WHO)の傘下組織である国際がん研究機関(IARC)は、2015年に衝撃的な発表をしています。
それはベーコンやハムなどの加工肉を摂取し続けると、1日あたり50g摂取ごとに、大腸がんや結腸がんを発症するおそれが18%ずつ高まるというものです。
いわば毎日100g食べ続けるとリスクは36%増、150gだと54%増になるという、これは思わず目を疑う報告。
しかも更にその2年前、欧州で実施された45万人を対象にした大規模な追跡調査において、ベーコンやソーセージなどの加工肉を毎日160g以上食べていた人の死亡率が、1日20g未満摂取の人に比べて44%高い数値を弾き出したという研究結果が出ています。
とはいえ、これらの結果をまるまる鵜呑みにして、「加工肉=がんになる=寿命を縮める」とあっさり結論づけるのは早計かもしれません。
特に前者のIARCの発表は世界的にセンセーションを引き起こし、各国の農相や加工食肉団体のトップが非難・否定声明を出す結果を招きました。
それでも「加工肉の摂取は身体に良い」という話はあまり耳にしませんし、まして過剰摂取となれば、なにかしらの悪影響はあって当然だと考えるのが妥当でしょう。
食べても大丈夫な量
ベーコンなどの加工肉の過剰摂取で心配される要素は、先述の脂質以外にもあります。
発色剤であるや、保水性や結着性を高めるといった食品添加物にも問題がないわけではありませんが、意外と盲点なのが塩分。
ベーコンには、1枚あたり約0.5gの食塩が含まれています。ということは2枚食べれば約1g。
さきほどのベーコンエッグで言うならば、塩・胡椒などで味付けもするでしょうから、1.5gほどの塩分を摂ることになりますよね。
厚生労働省による塩分摂取量の目標値は1日あたり男性が8g、女性が7gですし、 高血圧学会は6gを推奨しています。1日の4分の1近くの塩分量を朝のベーコンエッグ一皿で摂ってしまうとなると、昼食や夕食の塩分量をしっかり考えてコントロールしなくてはいけません。
脂質や塩分などを考慮すれば、1日に食べるベーコンの量は他の加工肉と合わせてもやはり20g程度(ベーコン1枚)にしておくのが無難です。多めに食べたときは、翌日は摂取しないというようにしましょう。