1日あたりの摂取上限
約150g(1個)
摂取を控えるべき人
高血圧治療薬服用者、口腔アレルギーの人、Ⅱ型糖尿病患者
アボカドダイエット!?
1970年代後半から珍しい南国野菜として輸入が始まり、2000年代以降には一般家庭の食卓でもおなじみになったアボカド。かつては表皮がワニの革のように見えるという意味の、alligator pearを直訳した「ワニナシ」とも呼ばれていました。
ヘルシーで栄養価が高いとの評価から特に女性に人気で、食前にアボカドを1個食べるアボカドダイエットなるものまであるほど。
とはいえさすがに毎食アボカドというのは、やはり過剰摂取です。これがイイ!と耳にするやいなや、そればかり食べ続ける生活は、却って健康を害するもとになってしまいます。
そうはいいつつも、畑のバターと呼ばれるのも納得の栄養価の持ち主なのがアボカド。
その筆頭はでしょう。アボカドにはオレイン酸の含有量が多く、一価不飽和脂肪酸は他の脂肪酸と比較すると酸化しにくい性質があります。
油というとどうしても肥満を招くイメージが強いものですが、これはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げ、高血圧、心臓病、動脈硬化予防の効果が期待できる身体に良い油なのです。
美容にも良いアボカドですが…
アボカドにはほかにも美容に良い成分がたっぷり。
シミや老化の原因となる過酸化脂質を減らし、ホルモンバランスを整え、血液をサラサラにしてくれるは、アボカド1個で1日に必要な量の3分の2を摂取することができます。
ほかにも抗酸化作用や肝機能障害予防の効果があるや、ビタミンB6、パントテン酸、銅、食物繊維などなど、まさに栄養の宝庫。
とはいえ栄養が豊富すぎるため、注意すべき点もあります。
第一に注意すべきはカロリー。中くらいのアボカド1個で270kcalくらいあります。これは茶碗一杯強の米飯と同じカロリー。アボカド食べて、おかずも食べて、米飯も食べて…という食事はさすがにカロリー過多になりがちです。
そして次に注意すべき栄養素はです。
カリウムは細胞の浸透圧を維持調整し、ナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える働きがあり、ヒトに欠かせない栄養素です。 しかし極度のカリウム過剰摂取は手足や口のしびれ、嘔吐、発熱、吐き気、低血圧、不整脈などの症状が現れることもあります。
1日あたりのカリウムの摂取量は、3,500mgを超えないようにするべきだとされています。アボカド1個で1,000mgのカリウムが摂れてしまうので、1日3個食べたら…それだけでほぼ制限いっぱいですよね。カリウムは芋やほうれんそうなど、さまざまな食品にも含まれていますので、あっさり過剰摂取になりがちなのです。
食べても大丈夫な量
ほかにも食べた際に口の中や唇に違和感を感じたり、しびれたり、顔が腫れたりする(ラテックスフルーツ症候群)の人や、血圧を下げる薬を服用している人はアボカドの摂取には注意しましょう。
血圧を下げる薬には、血液中のカリウム濃度を上げる働きがあります。加えてさらにアボカドを食べると、カリウムの過剰摂取になるおそれがあるためです。
またアボカドに含まれるマンノヘプツロースという糖は、インスリンの生産と分泌を抑えてしまう働きがあるので、Ⅱ型糖尿病患者は注意が必要との研究結果もあります。
以上これらの点を考慮すると、アボカドは1日に1個に抑えておくのが無難だと言えましょう。