1週あたりの摂取上限
50g(刺身5切れ)
摂取を控えるべき人
妊娠中の女性、幼児
寿司ネタとして一番人気ですが
人気の魚、マグロ。世間に魚は数あれど、その魚単体の身だけで単独の巻物になるのはマグロくらいなものです。そう、鉄火巻きですね。
ビタミンB群をはじめとして、リンやセレン、マグネシウムなど栄養も豊富。特に神経伝達物質の量を増やして脳を活性化し、記憶力や学習能力を向上させる働きがある(ドコサヘキサエン酸)や、動脈硬化の原因である血小板の凝集を抑制し、中性脂肪を減らす効果がある(エイコサペンタエン酸)も豊富に含まれています。
とはいえ赤身とトロではその含有量に大きな差があり、トロだと100gあたりDHAが2,877mg、EPAが1,288mg含まれていますが、赤身だと100gあたりDHAは115mg、EPAは27mgと大きく減少します。
1日にそれぞれ1,000mgの摂取が推奨されていますので、赤身の場合は他の青魚と組み合わせて食べたりして積極的にDHA・EPAを摂取しましょう。
水銀のリスク
栄養豊富なマグロですが、一方危険性も孕んでいます。それは水銀のリスク。
水銀といえば1953年以降に熊本県の水俣で発生した、中毒による慢性の神経系疾患である「水俣病」を思い浮かべる人もいるかもしれません。 アセトアルデヒド製造工程で副生されたメチル水銀化合物が、工場から海に排出され、これを多く含んだ魚介を食べた住民たちの手足や口周辺がだんだんと痺れはじめたのです。そして言語障害や運動障害、聴力障害などさまざまな症状を引き起こしました。
水銀は自然界に普通に存在する物質です。しかし自然環境中で無機水銀の形で存在する水銀は、微生物の働きでメチル水銀へと変化します。メチル水銀はプランクトンに取り込まれ、そのプランクトンを小魚が食べ、小魚は大きな魚に食べられる食物連鎖の過程において、メチル水銀は体内にどんどん蓄積されてしまいます。
大型の魚であるにもなるのです。
食べても大丈夫な量
厚生労働省は特に水銀の悪影響を受けやすいと考えられる妊娠中の女性や幼児に対し、マグロの摂取量をにとどめるべきだとしています。1日ではありません。1週間です。
それを受けて日本生協連はを推奨しています。
50gというと、刺身や寿司ネタ1枚あたり10~15gですので、おおよそ5切れ程度ですね。ですから鉄火丼と称して1ブロック(柵)も食べる、などというのは過剰摂取になります。
また妊娠中や幼児でない一般の人も、1週間あたり合計で100~200g程度以下に抑えておきましょう。