1日あたりの摂取上限
促成生ハム50g、長期熟成生ハム25g
摂取を控えるべき人
高血圧の人、妊娠中の女性
イタリアンには欠かせない
ワインのお伴としてつまんだり、サラダに入れたり、食卓をグッと引き立たせてくれる生ハム。
生ハムには、大きく分けてイタリアのプロシュートやスペインのハモン・セラーノ、ハモン・イベリコといった長期熟成タイプのものと、日本で多く流通している促成タイプのものがあります。
促成生ハムとは、味を付けた豚肉を乾燥させた後、低い温度で燻煙したもので、製造開始から2ヶ月足らずで市場に出荷されます。
本格的な味わいを求めるなら長期熟成タイプ、手軽に食べたいなら促成タイプ、といった感じで選ぶことが多いでしょうが、実はそれぞれに含まれる塩分の量は倍ほども違ってくるのです。
。長期熟成タイプの生ハムならば、100gあたり塩分が約5.5g含まれていますが、促成タイプなら2.8gですみます。
とはいえ、厚生労働省による塩分摂取量の目標値は1日あたり男性が8g、女性が7gですし、 高血圧学会は6gを推奨しています。
促成タイプの生ハムでも100g食べると、1日の塩分摂取量の半分近くにまでなるわけです。
「しょっぱいんだから100gも食べられないよ」という声も聞こえてきそうですが、ワイン片手だとついつい…ってパターンもあったりしますよね。
塩分の過剰摂取は高血圧を招きます。さらにはナトリウムを排出するための過度な腎臓負担が、腎臓疾患にも繋がります。そして不整脈や心疾患、胃がんの原因にもなるので、塩辛いものを食べ過ぎる食生活はやはり見直すべきでしょう。
妊婦は生ハム禁止!?
妊婦は生ハムを食べるべきではないと、よく言われます。
その理由はと呼ばれる寄生性単細胞生物のせい。この極小の生物はさまざまな宿主に寄生し、最終的にネコ科の動物に寄生します。それゆえ、飼い猫の糞便に触れるなどして飼い主に感染することもよくあります。
それ以外にほぼすべての哺乳類や鳥類にも感染するため、その肉を食べることも感染の大きな原因になりえます。ただしトキソプラズマは熱に弱いので、加熱した肉ならば問題ありません。
となると「加熱せずに出荷される生ハムは、危ないんじゃないの?」ということになりますよね。
では、ヒトがトキソプラズマに感染するとどんな症状が出るのでしょう。
実のところ、トキソプラズマに感染しても無症状の場合や、せいぜい軽い風邪のような症状が出る程度なのが一般的です。
しかし免疫抑制状態にある場合、つまり胎児や幼児、エイズ患者には非常に大きな影響を及ぼします。中枢神経系障害や肺炎・心筋炎を起こすことがあり、特に妊娠している女性が感染した場合は、死産および自然流産だけではなく、生まれて来る子に精神遅滞、視力障害、脳性麻痺といった障害があらわれることがあるのです。
それゆえに生肉は妊婦にとって避けるべき食べもの。生ハムはもちろん、レアステーキ、タタキなど生焼けになりやすい調理法での肉料理も控えるようにしましょう。
もちろん国内メーカーの促成生ハムは、厳格な条件下で製造しています。それでも万が一ということが考えられますので、避けるべきは避けておくというのが無難なのです。