1日あたりの摂取上限
1.5L(食事分を除く)
摂取を控えるべき人
なし
水を飲めばキレイになる!?
水はノンカロリーだからどれだけ飲んでも太らないし、便秘も解消されて代謝も上がり、肌も潤うから、水をたくさん飲みましょう…という売り文句、聞いた事はありませんか。
確かに水は身体の源です。水なしでは生きて行けません。
アメリカ医学研究所(IOM)は、成人男性なら1日に3.7Lの水分を摂るよう勧めています。女性でも2.7L。これは少なくともこれくらい摂りましょうという量。
しかし3.7Lって、ちょっと多く感じませんか?
水をたくさん飲めば健康でいられるとの言葉をそのまま真に受けて、多量の水を飲み続けると、実はとんでもないことになるかもしれません。
水中毒
という症状がそれ。
水中毒は水分の過剰摂取により、血液中のナトリウムイオン濃度が低下して起こるもので、頭痛や嘔吐、痙攣、さらには昏睡や死に至ることもある恐ろしい症状です。
特に脱水症状のときに多量の水を飲むと、水中毒になりやすいとされています。脱水症状とは、下痢や嘔吐をしたときのほか、熱中症の状況などをも含みます。
「熱中症予防のため水分を補給しましょう」という言葉は正しいのですが、同時に間違ってもいます。
水を摂ることで血液中のナトリウムイオン濃度が下がります。濃度を下げないためには、適度な塩分を水と同時に摂るべきであり、ただがぶがぶと水さえ飲めば熱中症を防げるというワケではありません。
とはいえこれも塩分の過剰摂取になってしまっては元も子もないので、激しい運動や労働をする場合のみ少量の塩分を気にかけて摂る、というようにすれば良いかと思われます。
また水をたくさん飲むことで脳梗塞や心筋梗塞を予防できるという風説もありますが、これも眉唾。少なくともそう結論づけた論文はありません。
逆に水をたくさん飲むと血圧が上がり、消化不良、冷え、むくみなどの症状が出やすくなります。
飲んでも大丈夫な量
飲み過ぎると問題があるし、水分不足でもダメ、でもアメリカ医学研究所は3.7L飲めと言っている…
じゃあ、どれだけ飲めばいいの? と思いますよね。
実は上で挙げたアメリカ医学研究所の3.7Lや2.7Lという数字には、飲み水だけでなく食事で摂る水分も含まれています。
わたしたちが普段食べている食事には、当然水分が含まれているわけで、スープや味噌汁といったいかにも水分ぽいものだけでなく、野菜にも肉にも水分があります。それらをまとめると、1日で約1Lにもなるのです。
また代謝により体内で水分が作られる、ということも忘れてはいけません。その量は、おおよそ350~500mlにもなります。
となると、それらの数字を差っ引いた残り、つまり飲みもので摂取する量は、成人男性で2.2L、成人女性で1.4Lということになるわけです。
しかしこれでもちょっと多いくらいで、厚生労働省は全体で2.5Lを推奨しています。食事での摂取1L、代謝で300mlを足した計1.3Lを引いた数字である(成人男性・体重60kgの場合)が厚生労働省推奨の飲み水の量です。
体重が60kgより多いのならば、1.5Lくらいで。女性なら体重に応じて、1L~1.2Lくらいが適量でしょう。